ひとり

ひとりだなあ。
ここのところつくづくさう感じる。

ひとりは好きだ。
自己中心的な性格であるし、趣味もひとりでできるやうなことばかりだ。
ひとりになるとほつと落ちつく。

でもそれは、「ひとりぢやないところ」に帰れるからだつたんではないか。
最近そんな気がする。

入社三年目だつたらうか、景気も悪く経営難で、多くの同僚が本社勤務を命じられた。
元の勤め先と本社とは、新幹線で二時間半ほど隔たつた場所にある。
そのうち今でも働いてゐるのは一人くらゐだらうか。
ほとんどは配属されて即辞め、残つた人々も一年のうちには辞めたらしい。

それはおそらく、元々働いてゐた場所に「帰つてくる家」のないせゐだらう。
もつと云ふと辞めたのは「田舎のある人」だつたらう。

ひとりは好きだ。
でもずつとひとりでゐる状況に耐へられるのか。
まだ試してみたことはない。