心ない客ばかり

ざつと見渡して、空席がちらほらとある。
こんなすばらしい演目ぢやといふのに。

これで来月大入満員だつたらほんたうに世をはかなみたくなるにちがひない。

観客はなめられてゐる。
どうしやうもないつまらない演目の並ぶのを見てみろ。

なぜ新薄雪物語のよさがわからぬのか。

ま、そのていどだからなめられるといふ話もあるか。

「新」派といふに

イヤホンガイドなしにはわからないのか。
それが「120周年」を迎へた「古典」の証か。
或は観客席の大半をしめる多少聞き取りに難を覚えるやうになつた人々への配慮か。

いづれにしても、「婦系図」は人気演目だ。よくできてゐるしよく練られてゐる。
ほかの演目もこれくらゐよくできてゐれば、まだまだ客も入らうよ。
残念ながらこれが新派はじめにてよくはわからねども。

「新」といふのに

すでに「クラシック」なのらしい。

生まれてはじめて新派を見に行くが。
んー、やはり菅原謙次の元気でゐるうちに行くのだつたかも知れん。

今日の手ぬぐひは本棚縞。

人気演目といふものは

やはりよく練られてゐる。とろいやうでテンポもいい。
中でもよくかかる幕には隙がない。

かういふ演目がいいねぇ。

といふわけで、歌舞伎座で青砥稿花紅錦絵。

この日のために

毎日働いてゐるやうなもんなんだがなぁ。

といふわけで、チトへろへろしてゐるが芝居に向かふところ。
あんまりへろへろしてると、まはりの観客に迷惑だからとは思へども。

今日の手ぬぐひは染の安坊のばら。

いつまで見られるのか

七月は松竹座で熊谷陣屋をかけるといふ。松島屋が相模をやるのらしい。
歌舞伎座ではチト見られぬゆゑ是非にも見たい。

今日の手ぬぐひは弁慶格子。

因果応報

悪いことをすると必ずその報ひを受けますよ。

東海道四谷怪談はをもしろい。
夢にまで見た（rhetoricではない。ほんたうの話）播磨屋の伊右衛門。
現実は夢の上をいく。
成駒屋がまたいい。萬屋の宅悦も。

満足の一幕。

はぐれ者

股旅も酌取もまたこの世のはぐれものであらう。
ふつうであれば親切をした方がいつまでも覚えてゐて、受けた方は忘るるが世のならひであるといふのに、この芝居はあべこべだ。

そこがたまらなくいい。

一本刀土俵入はしかし、役者を選ぶな。今回はよかつた。
お蔦の歌はやはり神谷町かなぁ。

顔はさのみ

よくない方がいいのかもしれない。
藤娘を見ながらさう思ふ。

高麗屋の挑戦はつづく。なにを好き好んで踊り巧者と踊るだらう。その意気やよし。

毛谷村

めづらしく吉岡の後室の出のある丁寧な上演。播磨屋やよし。しかしなんとなく小さくなつた気が。
しかし微塵弾正といひ京極内匠といひなんとよい名前であらうか。